闇から君へ

やあ、来たね。何度目かな
君がここへ来て、この私の世界へ来て、声を抑えて泣きじゃくるのは。
時に歯をくいしばり、時に放心し、狂い始めた童のように掴んで話さない死神の着物の裾。

見飽きたよ。誰かを恐れて己が身を責め、誰かを憎んで己が心を焼き尽くす君。
百万回見せられても同情はしないよ。
ここは闇の底。君と似た人は、四六時中数え切れないほどここにいる。嫌になる。
でも勘違いしないでおくれ。私は君が愛おしいんだ。
それなのに、私は君を救えない。君を光で包んであげられない。
光は君の魂の奥底にしかないんだ。
だから君は君の光を探してみてほしい。そこにしかない本物の君の光を。

難しいよね。有るわけないと思いつつ探すのは。その光は、君の心、異形の怪物となってしまった君の心に包まれている。
だから、怖いかもしれないが、その心をほんの少しだけ切り裂いてみてほしい。それはとても恐ろしい行為だ。
急いじゃいけない、落ち着いて目を逸らさず、立ちはだかる異形の怪物をまっすぐ見つめてやろう。強そうに見えるが、本当はか弱いのだと君も知っているよね。やれるよ、怪物に小さな小さな穴を開けてやろう。
どんなに小さな穴からも光は溢れ出て、怪物を掻き消してしまうのさ。

・・・・・
うまくいったかい?
・・・ああ、もう帰っちゃったか。良かった良かった。
こんな所、二度と来るなよ。ここは死神達のユートピア。
長居する君達は、君達の心の奴隷に成り果てる。
優しすぎる君達の、悪意に満ちた桃源郷。
来るな!

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