小学生の頃の勘違い

随筆

いつも大人の顔色を窺っていた。大人の感情が手に取るようにわかった。だから、いつだってニコニコしていた。大人が優しいと自分が嬉しいと勘違いしていた。

怒っている人を見ると、自分に関わりないのに悲しかった。それなのに、自分が怒られると面白かった。だから、先生に頬っぺたをつねりあげられたときニッコリした。ますます怒る先生を見て、それがなぜだかわからなかった。けっして馬鹿にしたわけじゃないけれど、怒られたら笑えばゆるしてくれるかもと勘違いしていた。

自問自答しているのに初めて気がついたとき、自分は少し大人になったなと思ったが、それも間抜けな勘違い。

友達に嘘をつく奴なんていないと思っていた。あるあるだけど、本当は皆勉強していたし自分より小遣い多かった。勝手に信じ勘違いしていた。

どうでもよい事だったら、親になら嘘をついてもいいと思ってた。ばれたら父にこっぴどく叱られた。家に入れてもらえなかった。泣き叫んだら入れてくれた。近所への体裁があったのだろう。これは計算通りだと思ったが勘違いだった。夕御飯抜きだった。でも後で食べさせてくれた。味がわからなかった。

初めてサザエを食べたとき、とても美味しかったので蓋を庭に埋めた。いつかそこからサザエがの芽が出ると信じていたから。成人後、母から聞いた勘違い。

蚊のことを「かが」と思っていた。「蚊ががおる」って言ってたそうだ。成人後、母から聞いた勘違い。

母親というものは実にくだらないことをいつまでも覚えているものだ。
母さん、ありがとう。

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